就職・転職時における自己分析

就職・転職時における「自己分析」とは

就職や転職時によく「 自己分析 」をしなさいと言われます。ただ、具体的に自己分析って何でしょうか?

特に就活が初めての新卒学生には分かりにくいかもしれません。少しでも 自己分析の意味や方法 が分かるように解説したいと思います。

答えがあった「生徒」の時代と答えがない「社会」

高校生までは「生徒」と呼ばれています。高校生までの学業では、例えば国語以外の強化であればたいてい 問題と答えは1対1 で、これもいい、あれでもいい、という事はありません。

そして、必ず答えがあり、〇か×か、正解か不正解かで、きっちり判定されます。あなたの能力もテストの点だったり、成績表だったりの 数値で具体的に評価 されます。

一方で、社会に出ると 答えが出ない問題が多い です。そもそも答えがあるのかもわからないことがほとんどです。

例えば、これまでの会社のやり方を早くマスターした方がいいのか、自分が思った通りを貫いた方がいいのか、とか、社長にはズバズバ意見を言った方がいいのか、上司を通して言った方がいのかなど、ベテラン社員でも迷う事柄です。

もちろん、会社によって、社長によって、 環境によって答えが変わります 。どんな場合でもこれが正しいという正解はない、それが「社会」です。

「生徒」と「社会」の中間が大学生で「学生」と呼ばれます。生徒と学生は似ているけれど、別のものです。

生徒は与えられたものを得る立場ですが、 学生は自ら進んで学び取ります 。答えもあるかどうか分かりません。

どうすればある実験は成功するのか、教授などからアドバイスはもらえますが、 自ら考えなければ結果は得られない のです。そして、その結果はうまくいったから正解、うまくいかなかったから不正解とは限らないのです。

これまで求めれば答えはあり、その答えは1つだったものが、急に 答えがあるかもわからない、答えは1つとは限らない 。考え方によっては、そこに問題があること自体、気づく人と気づかない人がいます。そんなに価値観が大きく変わる瞬間があるのです。

しかも、これらを教えてくれる人は誰もいません。自ら感じ取り、試行錯誤しながら得なければならないのです。こういったところに戸惑う方が多い原因があるのです。

「自己分析」の答えは1つではない

「自己分析をしなさい」と言うアドバイスをされたとしても、上記の様にこうすれば 正解と言うものはありません

それに、答えは1つではありません。 あなたが考えた自己分析でいい のです。それが正解だったのか、間違いだったのかは、数年経って自分で振り返ったときに初めて分かります。

マニュアル本などもありますが、鵜呑みにするのではなく、 参考程度に 考えましょう。このページでも自己分析の例をお知らせしますが、それが唯一絶対の答えではありません。

ただ、3000人以上の履歴書を見て、実際に社員の採用を行っていた筆者の目から見て多くの方に当てはまる内容にはなっています。参考になれば幸いです。

ほとんど役に立たない学校の就職担当

採用の仕事をしていると、高校の先生も応募してこられます。特に派遣会社で採用をしている時は、かなり多かったと思います。

高校の先生がダメと言う否定的な決めつけではありませんが、 教師という仕事は特殊 だと思います。大学を卒業して、そのまま教員になった方は正確な意味では社会を知りません。生徒、学生、教師と立場は変わっても、 ずっと学校という世界の中だけ で生きていると言えるでしょう。

そんな方が、生徒や就職する段になって「就職担当」となって生徒に対してアドバイスするのです。学校以外でどんな仕事があり、どんな大変さがあるのかさえ知らない人間が、大人の代表として就職を指導すると考えたら、そもそも 構造的に間違えている のに気づくと思います。

中には一般企業からの転職で教師になった方もいますが、ごく少数であることは間違いありません。

就職のプロがいるとしたら、採用担当でも学校の就職課でも担任でもありません。 何度も何度も転職を経験している 社会的にはあまり評価が高くない方が、実は一番就職について知っているかもしれません。

そして、どんな人が採用されるかは、 人事部など企業の採用担当をやっていた人 の話などを聞かないと分からないことが多いです。

ドアのノックが2回だから正解とか3回なら正しいとか、マニュアル本には色々書いてありますが、採用担当が見ているところはそんなところではなかったりします。

質問の意図も様々です。「 学生時代は何に取り組みましたか? 」という内容は、自分の学生生活をアピールするものに思えます。しかし、採用担当も履歴書を見て、部活にも入らず、成績もあまり良くない、学生生活は何をしていたのかと不思議に思う学生もいます。実際に就活中の学生も聞かれたらきっと困るような方も多いでしょう。

困る質問をしたとき どんな反応をするのか 見ていることだってあるのです。だから、 自分の短所や過去の失敗 について聞いてみたり、財布を拾ったらどうしますかなどの、意図が分かりにくい質問をすることだってあるのです。

仕事を選ぶポイントの要素は3つ:自己分析と照合する

筆者は、就職するときに仕事を選ぶポイントは3つあると考えています。「 仕事内容・やりがい 」「 給料・収入 」「 勤務地・転勤の有無 」の3つです。

これらのバランスだと考えています。若い時は、何を置いても仕事内容を重視するかもしれません。人によっては、地元から離れたくない方もおられるかもしれません。

人によっては昔からやりたかった仕事ができるのならば、地元を離れ東京に出るけれど、それ以外の仕事をするのならば地元で働きたいと思うかもしれません。

このように、バランスがあると思います。 その比率を考えるのが「自己分析」の一つ です。自分にとって、どれが大事なのか、意外とちゃんと考えないとあやふやな方が多いようです。

次に「仕事内容」ですが、その時の勢いで身体を使う仕事を選んでしまうと、ほんの数年で疲れてしまって、身体を使わないデスクワークに憧れるようになることもあります。

就職を考えた場合は今だけではなく、少なくとも 3年後、5年後くらいまでは考えて 仕事を選ぶようにしましょう。もちろん、もっと先も考えられればもっといいのですが、10年も20年も先はどうなっているのか誰にも予想がつかない世の中になっています。

あまり細かく決めずに、 大まかな方針 だけを考え、1年後、3年後など今見渡せる近い未来に自分がどうなっていたいかを考えると現実的で、考えやすいでしょう。

別のたとえを挙げてみます。営業の仕事は給料がいいけれど、人と会うのがあまり好きではない場合、営業の仕事は長く続かない可能性が高いでしょう。

給料は低いけれど、研究職などで一人黙々と仕事をするのが気だとしたら、長い目で見たら、給料が多少低くても、研究職の仕事を選ぶ方がその人には合っているかもしれません。

自分の長所・短所がそれぞれどういうところで、自分がやりたいこと・絶対にやりたくないことはこういうこと、といった自己分析をしておけば、 就職や転職における失敗は少なくなる でしょう。

もちろん 学生時代に何に力を入れていたか という「ガクチカ」や、面接で最初に聞かれる 自己紹介 を考えるのも自己分析になるでしょう。

それらは誰かに考えてもらうのではなく、 自分で考えて、自分で決める 。それが自己分析なのです。